私の周りでは若い人たちが年齢を数える。「35歳になりました。おじさんの年齢になってしまいました」。
「もう40歳を超えて体力激減。やばいです。歳には勝てませんよ」。
「君は海外旅行に行ったことがあるの?」
「ありませんよ」
「なぜ?」
「僕は結婚もしなければならないし、子供も育てなければいけないので海外旅行なんて行ってられません」
「それでは近々に結婚するわけだ。」
「しませんよ」
「なぜ?」
「結婚するにはお金を貯めなければいけないし、できればマンションを買っておきたいし」
「はあ?」
私の周りでは年齢の高い人たちが年齢を数えない。
「服部さん。誕生日おめでとう。幾つになったの。」「1月に72歳になりました。」
「あら若いわね。あと大きな仕事が二つ三つできるわね。」
今年89歳になる先輩から年賀状がきた。「ボツボツ老後のことを考えようかと思う歳になりました。」
年齢を数えるな。過去を振り向けばいつだって今が一番年寄り。未来を見つめれば今が一番若い。
小学校六年生の女子に訊いた。
「大人になったらどんな人と結婚したいの?」
「非正規雇用の人でなかったら誰でもいい」。
若い人が年寄りだ。日本が20年間閉塞しているもの。当たり前かも。