地球温暖化のせいで台風災害が目立つようになったが、なぜ台風を邪魔者扱いにするのか私にはわからない。日本列島は台風の通り道に添ってあるから、美しい緑の山々がある。農耕民族に必要な豊かな水脈をつくってくれる。まさに恵みの雨を持ってきてくれるのが台風だ。
日本にもしも台風がなかったら、米文化も野菜文化もなかった。日本酒もなかった。緑の田園もなかった。美しい草原もなかった。地下水脈も乏しかったろうし、美しい海も数多くはなかった。台風のおかげで大自然がいまの日本列島を形つくっている。
雪もそうだ
昔、津軽の岩木山に雪解けのころ行った。全山の雪が解けて10センチくらいの深さになった水が、山をすっぽり包み大きな音を立てて沢に流れ込んでいた。山が衣替えをしていると瞬時に思った。
日本列島は背骨にあたるや山脈があって台風が大雨をもたらし雪が降るおかげで地下水に恵まれ地元の田畑を潤している。
今日は知人と3人で会食がある。分けとく山が会食の会場。料理長の野崎洋光氏とは37年間の知り合いである。彼の人柄はとてもよくて昔も今も変わらない。彼は和食のブームをつくった人だ。テレビにも出ているし本も出している。
知人は高級車に乗ってオフィスに来てくれる。そのクルマに乗って麻布まで行く。台風が嫌だなとは決して思わない。恵みの水をもたらしてくれる台風と大雪が降る日本列島に感謝し私は出かける。
世界は水争奪戦になるそうだ。中国人が日本の水源地を持つ土地を買い占めているそうだが、日本人は何とも鈍感でいる。おいしい空気と水と太陽の光に感謝し、これらが私たちに素晴らしい食を与えてくれることを感謝しながら、野崎さんの料理を楽しんで来ようと思う。台風の風雨に感謝しながら。