昨年、3鉢にチューリップの球根を植えた。そのあとに特別の球根が手に入った。形は驚くほど大きくはち切れそうなふくらみを持っていた。誰もがこの球根は、きっといい花を咲かせるに違いないと思った。それを加えると4鉢になった。
そして期待通りに特別な球根は1月には角を出した。だが今年は寒かった。私は特別な球根に特別の情を掛けた。真冬でも日中は暖房がいらない温室のように暖かい部屋に特別な球根の鉢を移したのである。
寒い冬の中に置き去りにしていた鉢からは次々とつぼみが膨らみ始めた。
ところが特別の球根、寒い冬を避けるために温室のように暖かい部屋に移した球根はこれだ。
球根は厳しい冬の寒さに鍛えられて美しい花を咲かせることを知った。人間が情を掛けたばかりに花は咲かず、子孫を残せないことになった。
また失敗をやってしまった。来年は気を付けよう。