植物でも人間と同じように命をもっている。この命を継続するためにチューリップはどう生きているのか。観察することでわかってきたことがある。一回でもチューリップを育てたことがある人なら経験済だから、そうだよというに違いない。こちらは初体験であるからそこに驚きと感動がある。
1.チューリップの球根は厳しい冬の寒さで鍛えられる。
らっきょの親分かニンニクの兄弟みたいなチューリップの球根をなめてはいかん。蝶が卵を産み、それが幼虫になって次は蛹になり、蝶に姿を変える。チューリップの球根はこれと同じように地中に埋められると地中に角を出し、おしべとめしべの原型を作り、葉をつくり、気温の変化を察して角を出しチューリップの花になる準備を始めるのだ。問題は、気温だ。寒い冬にやらなければだめなのだ。10万坪の庭を持っている彼女のガーデンは世界的に有名。アメリカのイラストレーターであったターシャ・チューダーは「寒くなってきたら雪で大地が覆われる前にチューリップの球根を植えるの。冬の寒さが球根を鍛えてくれるわ」と、言っていた。ターシャのはなしはNHKTVで見て知っていたのだが、温室に入れればもっと早く花が咲くだろうと思い込んでいた私が間違っていた。
温室に置いたチューリップは、花を咲かせる機能を持っていなかった。花を咲かせることはできず命を繋ぐことはなかった。m(__)m。
教訓:カワイイ子供には旅させろ。甘やかすとろくなことはないぞ。
2.チューリップの首が長いわけ。これは花のカタチにも関係している。チューリップは真横からの風に、つまり空気抵抗が高い。細くしなやかな長い首のうえに空気抵抗の高い花がつけば風を受けてよく揺れる。そうなのだチューリップは風でよく揺れる姿になっている。なぜか。花袋の中にあるおしめとめしべを風の力でゆり動かしつづけ、受粉できるように、次世代に命を繋ぐようになっているのだ。
3.チューリップはいつも筒形ではいない。太陽の光が当たると花びらは徐々に開いていく。中央のめしべに5本のおしべが露出され、まともに風を受ける。黒い花粉はまずは黄色のめしべに当たる。そのうえ露出されたので昆虫を招きやすくする。
受粉していない花は夕方になると元の筒形に戻っていく。
4.受粉した花は自ら花びらを次々と切り落としていく。これは凄いな。養分を次の球根に回すために役目が終わった部品を捨てていくのだ。
花は散っても花は死なない。この姿でも花は美しい。この一瞬を精一杯生きているから。花は一所懸命花弁を落としている。この姿を美しくないといえようか。私にはいえない。
とまあ、チューリップを育てた経験をして得た感想を語りました。