2019年の秋、柿を齧って、皿に残った6つの種を春日の空中庭園にあるプランタンに蒔いた。
するとすべての種が芽吹き、成長し、2021年の夏、私の背丈より伸びた。緑色だった幹は、茶色に変化し、若木の様相を見せ始めている。
自宅へ持ち帰って、庭に植えようと考えたが、樹木はたくさんだと断られた。
庭には、10本の山茶花と、3本の柿の木と、大きくなりすぎた2本のモクレンと、2本の梅の木と、それ以外にも約10本くらいの名前を忘れた樹木が植えてある。
そこに6本の柿の木を植えたら、落ち葉掃除も大変だという家族の気持ちはわかる。
戯れに恋はすまじという言葉が脳裏を走った。
戯れに命をもてあそぶことは、もってのほかだと思った。
私は、今、プランタンの中で、すくすくと伸びている6本の柿木を、どうするべきか、思い悩んでいる。柿よ、柿よ、汝を如何せん。まるで項王の心境である。