大阪名物、「くいだおれ」が7月9日で店を閉める。道頓堀から消えてなくなるトレードマークの人形を写そうと本格的な一眼レフや、携帯電話カメラを持った人が人形を取り巻いている。かくいう私もその一人である。
滅び行くものに美を感じる日本人の感性は、この人形に向けて十分に発揮されている。一飲食店の閉店なら、カメラを持って集まる人は少なかろう。有名キャラクターが飲食店を擬人化したために、滅びの美学が頭をもたげたとしか説明がつかない。
落花する椿と、まもなく閉店する食い倒れのキャラクターを、日本人は同じように感じとっている。
掲載した二種の写真を見て、脳の同じ部位で、諸行は無常であると感じとっているとしたら、西洋の脳科学者は、日本人の不思議に頭を抱えるに違いない。