ジャグアーの旗艦であるXJが新しくなって一部の人に初公開された。ジャグアージャパンの人もディーラーの人も始めてみるXJである。一台だけ輸入されて午前中にプレス発表され、午後からジャグアーユーザーと見込み客にだけを対象にした、したがって購入確度の高い顧客だけを集めた発表パーティが六本木のホテルグランドハイアットで開かれた。
ジャガーが待つパーティ開場に抜けるには演出されたコンコースが待ち構えている。私の興味は実力に比べて評価が低いジャグアーが新しいXJを生み出してどこまでベンツやBMWに肉薄できるかの一点である。
エンジンはV8.5000CC。性能は3タイプで一番安いLuxuryと次の上位機種PremiumLuxuryは385馬力、スーパーチャージャーがついたPortfolioLWBは470馬力、最上位のSuperSportは510馬力。本体価格は一番安いLuxuryは,1000万円。一番高いSupersupoerは1655万円である。
特長はいろいろに組み合わせができること。したがって自分だけのジャグアーXJが注文できること。その代わり納期は掛かる。
正直言ってプレミアムカーとしては安い。内装の豪華さはいうまでもなく、質実剛健なるドイツ車よりはるかに上質であるし、ドイツ車に類似するものはない。
私はセールスマンにアストンマーチンDB7とデザインコンセプトが共通していると話をしたら、その通りで、DB7をデザインしたデザイナーがXJのデザインを手がけたのだと言った。そのデザイナーは来日しているのかと問うと、もちろんです。彼を探してきますといったが、もう帰ったそうですと戻ってきた。私が地下鉄を乗り継いで六本木ヒルズにあるグランドハイアットに到着したのは19時40分を回っていた。きっと日本の夜を楽しみにして出かけたのだろう。
私はALL NEW XJが、プレミアムカーの市場にどれほど切り込んでいけるか楽しみでいる。XJはイギリスでは貴族階級層とミドル層の成功者が乗るクルマである。日本みたいに車幅が1894ミリもあるのなら車庫に入りませんなどという顧客は対象外としてつくられている。ジャグアーは昔から、ハンドル操作で小回りが聴かない取り回しが良くないクルマとして有名だが、そんなことを言う顧客も対象外としてつくられている。
しかし、ジャグアーユーザーは真剣なまなざしでクルマの運転席に座り、いいねーと感嘆の言葉を上げている。中には予約注文を入れている顧客もいる。ベンツユーザー、BMWユーザーと同じく熱狂的なジャグアーユーザーがいる。私はXJの顧客対象者としては失格だ。わが家の車庫は1845ミリの現有車が限界である。
ジャグアージャパンは来場者のお土産としてスコットランドのカシミアアパレルメーカーHAWICK社のカシミア手袋とMOET&CHNDONのシャンパンを気前良く準備していた。カシミアの手袋は寒冷地軽井沢に住む知友にプレゼントしよう。シャンパンは事務所に置いて来週遊びに来る知友と二人で空けようなどと、小さくいじましい喜びに思いを託して地下鉄日比谷線に乗り込んだのであった。