週末の日曜日に軽井沢へ出かけた。前日がかなり積雪があって道路の状態が危ぶまれたがもう大丈夫だろうとたかを括ってハンドルを握った。横川の桜は満開であった。この時期は山が霞むように萌えている。普段は飛ばして風景を見ないものだが、この時期はゆっくりと走るのもいいものだ。
横川サービスエリアは軽井沢へ入る一歩手前にあってここで用事を足して、ある人はトイレに行き、ある人は飲料水を購入して準備を整える。
高速道路から入ると軽井沢は特別に感傷もないが、一般道路から入ると軽井沢が特別のエリアである事が分かる。ここは東京の飛び地で東京24区と言われる意味合いも納得すると言うものだ。春の霞は無く、藤岡ジャンクションを越えると白雪の浅間山がまるで富士山のような姿をして飛び込んできた。まるで富士山だ。分からない人が見たらあれが富士山ねといい、富士山を知っている人が見たらなぜここから富士山が見えるのといぶかしがるに違いないほど良く似た姿であった。
やがてクルマは横川サービスエリアに到着する。かく言う私も横川サービスエリアに寄って足腰を伸ばし、水を確保し、トイレに寄った。
軽井沢の山々は今萌えている。このぬくもりに手を差し伸ばせばきっと暖かいに違いないと私は思った。藤岡近辺の沿道に咲いていたこぶしの花は軽井沢の町花だが、軽井沢ではまだこぶしの花は咲いていない。
軽井沢町は住民が住む建物数より別荘数が多いので町は豊かで、資金は潤沢にある。除雪機動力は抜群で前日に20センチも降った雪は見事に道路の横に寄せられていた。私は久々に早春の軽井沢を楽しんだ。
ここは文京区播磨坂である。私の通勤に使う道で桜が咲く週末には各地からここへ花見客が集まるくらい有名な花の名所である。もう東京都内の桜は終わり今はご覧の通り新緑である。
春には植物の精気に自分の気を吸い取られてしまうという女性がいた。彼女はもう命を吸い取られているのかもしれない。
最近、知人の外国人は、日本の男性は草食系でも生きていけるからうらやましいよ。私の国では草食系なんて、生きていけないよと言った。
「そうだよな、不況といいながら日本人は高等だよな」と私は答えを返した。彼は「そうだよ。日本人は高等動物だよ、俺は下等動物だよ」と真っ白い歯を一層光らせてにやりと笑った。
私は現役でクリエイティブに生きられる時間をあと10年と仮定してその間、大いに生き抜くぞと覚悟している。そんな私に自然は一時一所に生きろと教えてくれる。花は散っても桜は桜である。