よいすら節 朝崎郁恵唄
舟の高艫に(たかとも)に、ヨイスラ
舟の高艫に ヨイスラ
白鳥ぬ坐ちゅり スラヨイ スラヨイ
白鳥や あらぬ ヨイスラ
白鳥や あらぬ ヨイスラ
姉妹神(うなりがみ)なし スラヨイ スラヨイ
汝きゃ 拝む節や ヨイスラ
汝きゃ 拝む節や ヨイスラ
夢やちゃんば見りゃぬ スラヨイ スラヨイ
神ぬ引きゃあわせに ヨイスラ
神ぬ引きゃあわせに ヨイスラ
汝きゃばくま 拝でぃ スラヨイ スラヨイ
舟の艫先に二羽の白い鳥がとまりました。そこにとまっているのは白鳥ではありません。姉妹(うなりがみ)神なのです。あなたがたとお会いできるこのときを夢にさえ見ることができませんでした。神様のお引き合わせによってあなた方とここでお会いできたのですね。よいすら節対訳
人がまだ孤で生きていたときに、人は神の存在を認めていたのか。いや。神の存在は人が集団で生きるようになってから作り上げたものだ。
奄美民謡「よいすら節」は、古代奄美大島に住む人が、孤〈個)から集団で生きはじめたころ、初めて神の存在を知って悦びに満ちている心の様子を謳ったものだと私は思って聴いている。舟の艫に止まった鳥に、守り神を映し合わせて、法悦に満ちた唄である。