中国は帝国主義になった。ロシアもそれに模倣している。弱い国を脅して領土拡大を狙うのが帝国主義。明治時代に世界は帝国主義が吹き荒れた。日本が朝鮮半島を占領したのもこの時期だ。台湾を統治したのも、中国に満州帝国を作ったのもその延長上にある。日本が日帝といわれるのはここから出ている。
最近の中国を見ていると共産主義ではなく帝国主義である。尖閣諸島をたかが小さな島と思ってはいけない。島に付く海洋の権利が大きい。ここには漁業資源も地下資源もある。中国の社会科の本には尖閣諸島が日本の領土として書かれていた時代があった。尖閣諸島は戦後、アメリカによって占領された地域にあり、沖縄返還と共に返還された歴史を持つ。
この尖閣諸島を中国のものと言い張るのは、中国が帝国主義と化したからである。中国は先を見ている。やがて資源戦争になるだろうと。その背景は人口増加と食料確保がある。
帝国主義が領土を拡大した相手先はすべて弱い国である。日本は、経済大国であるが弱い国となった。何が弱いといえば政治家が弱い。特に総理が一段と弱い。国際会議に出てくる総理はおどおどして目はきょろきょろし、場違いな人が出ているようだ。どう観ても強そうではない。前かがみに腰を浮かせて座っておどおどしながら周囲を見ている姿は、歴代総理になかった異形だ。大企業の経営者の中に万年平社員が入って口も聞けずにおどおどしているようなものだ。
だからいじめの対象になる。内閣支持率が下がったのは小沢一郎や鳩山由紀夫の政治と金の問題だと本人はいうけれど、この弱さが支持率を下げていることを棚に上げてはいけないと思う。
弱い総理が続けば国民はもっと弱くなる。日本人が内向的で求心的な民族になったのは総理が恥ずかしくなるほど弱いからだ。そこを狙って尖閣問題が起き、そして北方領土の大統領初訪問が起きた。
日本人は、中国共産党には強硬派がいてそことの競争があるから穏健派であっても強く出なければいけないのだとか、ロシアの大統領も時期の大統領選挙を意識したパフォーマンスだと妙に相手の内情を理解したような考えをひらめかす評論家がいて、聴いている日本人も相手の事情を知ればここは大人になって冷静にと悟ったような振りをしているが、そういっている間に竹島は韓国が実効支配をしてしまったし、尖閣諸島だってわかったものではない。民主党は中国に団を送って関係改善を図るそうだが、まるで朝貢団ではないか。冊封体制に組み込まれたようである。国家も総理も毅然としていなければならない。
我々の年代はいろいろなことがよく見える世代なものだから今の政治を見ているといらいらするようである。政治ブログは増えているし、私もこうして政治のテーマを取り上げ始めた。
政治に無関心ではいけない。選挙があったら投票しようというけれど投票して政治交代が起きたらこの有態だ、と我々の年代が集まると愚痴る。政治と宗教の話は禁句というけれど、この話は政党支持ではなくもっと基礎のところに横たわっている課題らしい。みなが異口であっても同音である。したがって政治の話題が禁句にはならないのである。
明治時代、維新を実現した薩摩藩でさえ下級武士にまでその恩恵はとどかなかった。不満は爆発し、薩摩の下級武士たちがこぞってでかけ台湾南部を侵略し占領した。清王朝は弱体していて武力で対決することができず当然ながらこの侵略を国際世論に訴えて日本に撤退を求めた。この処置に当ったのが大久保利通である。大久保は北京に赴き、一ヶ月の日数を使って清王朝と粘り強く交渉をして、台湾を撤退する条件として台湾は清のもの、それ以外の南西諸島は日本の領土と決めた。これ以来、台湾と与那国、波照間をつないだ中間が線引きされ国境となった。南西諸島はこうして日本領土として清王朝と話が付いたのである。だかな与那国は日本最西端、波照間は最南端の島となった。
国家が弱体化した時に領土問題が起きる。ソ連は日本が負ける寸前に参戦し、北方領土を占領した。台湾は清のものと決めたにもかかわらず、日本は日清戦争後に台湾と山東半島を手中に収めた。もっとも山東半島は国際世論に負けて返還したが。そして敗戦後に台湾を中国に返したとなるが蒋介石が台湾を治め、いまは中華民国となっている。つまりのところ時代を振り返ると領土を取ったりとられたりを繰り返しているのだ。
ひょっとすると私たちはいま、時代の転換期にあってめったに見ることができないことを見、体験できないことを体験しているのではないかと思う。愚痴らないで乱世を楽しむくらいでちょうどよいのではないかと思ったりしていては非国民と言われそうである。