あなたは原発反対ですか?どう思いますか?とよく訊かれる。
「その質問はもう遅いですよ」。これが私の答えだ。
島国人は、島の中だけを見つめる。島の中だけ解決すればすべては解決すると思っている。一方大陸人はそうは思わない。自国だけ原発をなくしても地面続きの隣国では原発を使っているのだから、自国だけなくしても解決しないと考える。
社団法人日本原子力産業協会の発表だと、2011年1月1日現在、アメリカ104基、日本54基、中国13基、韓国20基、ロシア28基、台湾6基、インド19基・・世界では436基の原発が稼動し、建設中が75基、計画中が91基で、合計602基になる。
日本がゼロになっても万一お隣の中国や韓国で原発事故が起きたとしたら、放射能は偏西風や北風に乗って無差別に日本に舞い降りてくる。
大陸人なら「やめるときは各国が一斉にやめろ。自国だけやめるのは不都合だ」というに違いない。エネルギー不足は自国にとって不都合な状態を作り、経済活動を弱体させる。自国の原発を止めても他国が稼動している限りやめる意味は持たない。弱体化すれば付け入る隙を与えるから自らやめることはしない。
大陸でもドイツは違う。ドイツ人は一番に自然保護。二番に家族。三番が仕事。という考えを強く持っている。ドイツ車がリサイクルに力を入れているのは自然保護を一番大切にする国民性があるからだ。
島国で3つの大陸プレートがせめぎあい、地震多発国日本が、これだけ経済発展をして、原発を54基もつくってしまってから、原発は反対ですかと問われても、もう遅いのだ。
宇宙を相手に人間が想定外というほど滑稽なものはない。自然とは地球の営みであり、マクロ視点で見れば、宇宙の出来事なのだ。太陽はやがて赤色巨星化し、その大きさは太陽を回る地球の公転線上を越えると予測されている。あらゆる生物は、とっくに死に絶える。人類も死に絶える。
その前に大陸の移動は人類を大きく変えていく。このような宇宙の営みに人間は、わずかな偶然が重なって誕生し生きている。人間脳の知りたい欲求が一人歩きを始め、原子力の平和利用という名のもとに触れてはいけない領域に手をつけた。
人類が一斉に、軍縮をやるように原発縮小を行い、数年後にはゼロにすることをやらない限り、原発はなくならない。戦争をやめようといいながら戦争がいつでも続いているのと同じだ。太平洋戦争で打ちのめされ多くの死傷者を出し、戦争を放棄したはずの憲法9条を持つ日本が、武器輸出原則を緩めているではないか。それどころか自衛隊を軍隊と名前を変えるために改憲する動きがあるではないか。
だから、原発反対ですかと訊かれれば、その質問はもう遅いのですと答えるしかない。反対しても、このまま再稼動をしなくても、地球上にこれだけ原発が動いているのだから、地球人の危機は、何にも状態変化をいたさないのだ。