古今東西とは昔も今も世界中を見渡してという意味だが、立法府や行政機関が行っているのは、いまの課題をどう解決するかであって、そのために地元から陳情があり、政治家の力量を加えながら予算が組み立てられるのであって、将来につけを回さないためにということで予算が組まれたことはない。
本州と四国をつなぐ4本の本州四国連絡橋は、とてつもない赤字で国が援助をしなければ赤字は2兆円にも3兆円にも膨らむとなっている。
政治家は台風でフェーリーが沈没したことを受け、連絡橋の建設を思い立ち、橋ができれば経済も豊かになると踏んだ。しかしこうした箱モノに近い道路をつくったことで将来に多額のつけを回している。
Apple社の創業者ジョブズのスタンフォード大学でのスピーチにこういうくだりがある。「過去は点でつなぐことができるけれど、未来を点でつなぐことはできない」。
まったくその通りだ。未来を点でつなぐことはできない。未来につけを回さないため。・・・とは、未来といまを点で結ぶことに他ならない。だから、実際はできないことだ。できないことをできるかのようにいう。したがって大欺瞞なのである。
復興予算のうち、巨額のお金が他に流用されてしまっている。国民から25年を条件にした復興所得税をとっているけれどお金に色は付けられない。余った予算は一か所にプールされて次年度にはいろいろな部署から手を付けられる。こうして復興予算は流用されている。
消費税が上がるとなったとたん各省庁からドカンと予算要求が増えるとか、増えたとか、新聞に書いてあった。見出ししか読んでないので詳しくは分からない。繰り返すがいま生きている人の欲望、願望、希望を満たすこともできないのが国家予算の現実なのである。
だから、古今東西、将来につけを回さないためにという理由で増税が図られたことはあるかもしれないが、古今東西、将来につけを回さないための予算を組まれたことはないと断言する。
いつだって生きている人たちの欲望や願望や希望を実現するために予算は組まれているのであり、いまこの世にいない子孫のために予算が組まれることなど、ありえないのである。
トヨタ社長が将来につけを回さないため消費税増額に賛成と言っているが、消費税10%になったら自動車取得税がゼロになることが約束されているから賛成なのであって自動車取得税や重量税を据え置きにしたらはたして賛成の立場になるだろうか。この一例でわかるように、すべてはいま生きている人のためしか考えていないのだ。
いまのように大きな政府があって、それぞれの省庁が予算を獲得して使っていく、古くなった道路インフラの整備、将来に大きなつけを回す東北地方の大防潮堤建設、リニアの開発、・・・。いわば高度経済成長の名残ともいえる道路・交通インフラ・箱モノ投資こそが将来にツケを回す元凶ではないかと思うのである。
日本人、特に若者は急速に考える力を失っている。スマホに配信されるニュースは、どうでもよいようなことで文字を読んだ気になっている。本や新聞から若者は急速に離れている。クルマからも離れている。テレビと言えばお笑いタレントが、がやがやとやっているだけである。
日本が一番行わなければいけないのは青少年への知に対する教育投資である。この継続こそが将来にツケを回さない最良の投資なのである。