しばらく庭に出ることはなかった。朝は起床→洗面→食事→出社。夜は毎晩22時以降の帰宅であった。昨日は横浜ではじめの仕事が終わり、続いて大森で次の仕事の打ち合わせがあった。帰宅してから何気なく夜の庭に出た。本当に何気なくだった。
かすかな光のなかでモクレンの白い花が浮かんでいるように見えた。花は黙って咲き黙って散っていた。自然は寡黙にして欲張らず見せびらかさずに、しかし自らの一瞬を光り輝いている。
私は慌ててスマホを取りだして、暗闇の中でシャッターを切った。焦点が定まらずピンボケなモクレンの写真が記録された。何で慌てたのかは定かではない。一瞬を生き切っている花に対する不義理がそうさせたのか、自らのふがいなさに恥じたのかは確かではない。
軽井沢も暑いくらいだと連絡が入っていた。来週中で仕事が一区切りする。仕事も兼ねた春の訪軽を楽しみにしていたが昨夜は寒に戻り雪がちらついているらしい。春は三寒四温で前に進む。