奄美大島に1世紀ぶりに雪が降った。私は奄美市笠利町に住む泰さんに電話を掛けた。雪の心配ではなく雪によって気温が下がったことによる生き物への影響を気にしていた。
久々の電話であった。
野鳥は大丈夫ですか。ほかの生き物は大丈夫ですか。魚が仮死して浜に上がっているらしいですね。私はそんな心配をしていた。ハブは相当死んでしまうでしょう。5℃以下ではハブは生きられないから。私は毒蛇のことまで心配していた。
服部さん。奄美に来てよ。みんな気にしているよ。花井も会うたびに服部さんどうしているって尋ねるよ。中村瑞希ちゃんのお母さんも服部さんお元気ですかと会うたびに言いますよ。
話は尽きなかった。本当に尽きなかった。
島の人たちは暖かい情がある。私は話しながら胸が締め付けられるようになって声が詰まった。泰さんも声が詰まっていた。声が詰まったから両方で電話を切った。