土曜日にドライブに出ようと決めていた。コースまで頭の中で練って迷わずまっしぐらと思っていたが、金曜日にイギリスのサスペンスドラマを見たのがいけなかった。ドラマがスピーディに進むのでつい脚本に乗せられて、正確には土曜日の朝三時までテレビを見た。
何時に寝ても午前五時台には一度は目覚める。それから七時台までうとうとする。
そんなわけで、短い睡眠時間では七時間近くも集中して運転する力が欠落してしまう。目に疲労がたまるので視覚が劣化する。長時間ロングコースを走るには、睡眠時間をたっぷりとることが条件なのだ。
というわけで土曜日の朝、これでは長距離運転に出ることはできないとあきらめた。
休養にはちょうど良かった。午前中に久々にうたたねをして夢を見た。大体がイギリスサスペンスドラマのシーンの一部であった。夢でハラハラし夢でドキドキした。
スマホのイヤホンの片側が聞こえなくなっていた。無線のイヤホンをネットで購入したが、使用者の評価点とは裏腹に低音がまるで出ない代物であった。高音もキンキンしたまさに金属音であった。
土曜日は音楽なしで過ごした。音楽のない時間が精神によくないことはわかっていた。しかし本当に良くないことがしみじみと分かったので今日、ビックカメラへ行ってコード付きのイヤホンを買った。
ビッグカメラでは無線のイヤホンも販売しているのだが技術的に試聴が困難であった。だからここで買うには有線イヤホンしかなかった。
高価なものが良いとは限らない。イヤホンはどれだけ高価なものを選んでもいつかは折れ曲げの多い個所から断線してしまう宿命をもっている。だから予算は一万円以内と決めた。
手持ちのiPhoneからいつでも聴けるApple Musicを使って異なるタイプの曲を試聴し、一番気に入ったイヤホンを買った。異なるタイプとはJazzと交響楽団の演奏と、ピアノ曲と、ミュージカルとロックと、日本の歌だ。日本の歌では都はるみと井上陽水を聴いた。
もう一つ用事があった。仕事で重いデータをクライアントにメールで送ることになった。ところがスマホでは送信できない大容量であった。そのため出社しオフィスのPCからクライアント企業に送信する必要が出てきた。それで、イヤホンを購入してから出社となった。
週末はテレビで深夜まで見たことが予定を狂わせた。
狂わせたのは自分である。自分が自分の時間を制御できなかったからである。たったそれだけで人生は変わってしまうことがある。誰のせいでもない。計画を阻害するものはやらないことだ。
でも一方、悪いことばかりではない。イヤホンも変えることができた。仕事も一コマ進めることができた。もしかしたら、逆にドライブにでたら交通事故に巻き込まれていたかもしれない。
人は一秒先を予測できない。だから一瞬を精一杯生きることだ。未来の不安に縛られることなくいまを前に進むことだ。
生きる手法はそれしかないのだ。いまの一瞬を精一杯生きていないから人間は未来に不安を抱く。