宮沢賢治が作詞作曲した星めぐりの歌を北上市で農業をして、まるで宮沢賢治のようにして暮らしている知友に送りたい。星めぐりの歌は、正確には賢治の著作「双子の星」に書かれている詩に後日、賢治が曲を付けたものだ。
この曲には、一切の野心も邪心も作為もない。どんな曲にも作者の想いがあって、その情念が曲の中に入り込む扉をふさいでいるのだが、この曲には何一つ塞ぐものがない。自己主張もない。押し付けるものがない。だからスーと曲の中に入り込める。いや、曲の方が人間の体の中に入り込んで心を満たしてくれる。だから、寝る前に、この曲を流すと、すっと睡眠に入り込めるのだ。こんな経験は、初めてのことである。睡眠導入曲、ヒーリング曲などたくさんあって試してみたが、どれも目が覚めてしまう。
絵画では、宮城まり子さんが主宰しているねむの木学園の生徒たちが描いた絵がまったく同じ感覚であった。彼らの作品は細かいモチーフがたくさん描かれてた、まるでどこかの包装紙のようだが、自己主張も、邪心も、野心も、感じられないでいる。
星めぐりの歌を聴くと、宮沢賢治の豊かな心根と高い精神性を感じてしまう。それでいてスーと体の中に入って自分の体を洗浄してくれる。メロディはドレミソラの五音音階だ。だから親しみやすい。
北上も農繁期を迎えて、友は忙しくしていると思う。宮沢賢治がつくった星めぐりの歌を送ります。
星めぐりの歌 作詞作曲 宮沢賢治
あかいめだまの さそり
ひろげた鷲の つばさ
あをいめだまの 小いぬ、
ひかりのへびの とぐろ。
オリオンは高く うたひ
つゆとしもとを おとす、
アンドロメダの くもは
さかなのくちの かたち。
大ぐまのあしを きたに
五つのばした ところ。
小熊のひたいの うへは
そらのめぐりの めあて。