昨日、お茶の水にある高層ビル20階にいた。それまで青空で気温34℃であった。ところが天候が突然に崩れだした。見る見るうちに黒雲が降りてきた。闇のとばりが押し寄せてきたよ。雷が鳴り稲光が始まった。
風景が一変した。ツリータワーも見えなくなった。雷が何度も落ちている。雷鳴がビルの中にまで響いている。でも20階にいた人たちは凄いを連発し、スマフォを構えていた。かくいう私もガラス越しにこの写真を撮った。皆は自然が繰り広げるショーを楽しんでいた。
小諸の北にある山の中で雷雨に出会ったことを思い出した。あっという間にあたりは暗闇になった。そして大きな雷鳴が鳴り響いた。ここは山の中の草原であった。小諸に住む友人と二人であった。彼は驚くほど真剣な顔になった。恐怖ではなかった。この危機から逃れようとする必死の態度であった。金属をすべてカラダから外してください。腕時計、ズボンのベルト、コイン、久瑠も脱いでください。眼鏡もです!それとバッグもです。服にも金属が使われていたら脱いでください。それを道に置いて向こうに見える高い樹の近くまで走りましょう。私はズボンをはいてすぐ止める金具が金属であることを思い出した。腕時計は高額のものを付けていた。外したも金属をズボンのポケットに置いてくるりと丸め、道端に置いた。
二人は腰を丸めて50メートルくらい先の木にたどり着いた。幹から3メートルくらい離れてそこに寝て丸まった。
それからものすごい雷雨になった。二人は半端ないぐしょ濡れになった。気温が急激に下がり、寒さに震えだした。クルマに落ちたらあきらめてください。死ぬ恐怖が生まれた。
人間は自然の恐怖から逃れるために文明を発展させてきた。この高層ビルにもコンクリート、電気、照明、空調、エレベータ、階段、が用意されていた。だから激しく降る雷雨とであってもすごいと言って楽しめる余裕ができる。
文明が発達しすぎた。そのため、いつしか自然への畏敬がなくなってきた。今、日本では豪雨、川の氾濫、山の氾濫が続き大きな被害を受けている。超大地震がいつ起きても不思議ではない。地震学者は警鐘を鳴らしている。
昔、奄美大島に住む泰さんは、シルバーセンターを仕切っていた。ある家から小さなムカデが出るので観て欲しいと依頼を受けた。そこで天井板を外して天井裏を除いた。天井裏はびっしりとムカデの巣窟になっていた。依頼主の家は山の樹々に触れるくらいの距離に家を建てていた。だからムカデが大量に入り込んだ。山に棲むより天井裏の方がムカデも居心地がよいに決まっている。
先日訪問した北海道のはなしだ。ヒグマが堂々と街に出てきて、堂々と食べ物を食べて、堂々と山に変えるそうだ。
北軽井沢では、高温のためあの特別においしい霧下レタスやキャベツが腐って大被害を受けている。
東京湾にはテーブルサンゴまで棲み着いているそうだ。二モならぬクマノミも泳いでいると画像がTVで紹介されている。亜熱帯現象が着々と進んでいる証拠だ。
北海道の市場では、イカが一杯300円の高値になっている。
これら一つひとつは小さな現象に過ぎない。だが海が変わりはじめ、山が変わりはじめ、川が変わりはじめているとしたらどうだろう。気温はすでに変わり始めている。
人類は今までに経験しない大きな代償を支払わなければならなくなるだろう。大規模な食糧危機という代償だ。ここまで考えた時にいくらか外の明るさが戻ってきた。
足元を見ると湯島聖堂の森が見えた。お茶の水を流れる神田川は大きな工事をしている。この川は日本橋の下を流れ東京湾に抜ける。