今年も、我がオフィスの庭は、昨年の秋と同じ風景になった。エゴノキは黄葉して山茶花が赤い花びらを付けた。
軽井沢の友人も刻々と変化する秋の風景を撮影し、メールで送ってくれるし、軽井沢を愛でるSNSには、リアルタイムで写真の投稿が相次いでいる。浅間山にゴリラが戻ってきた情報は毎年届くし、ゴリラが消えたニュースも毎年届く。今はいささか静かになっている。夜になれば気温は氷点下に落ちて人々はひっそり寝静まっているからだろう。
私は、私でこの小さな庭の中に宇宙を感じている。地球が自転し公転している。それを感じているからだ。
やがてエゴノキの葉が落葉するのを待って庭師が入り、2本のハナミズキも一緒に丸裸になっていく。
この風景も去年と同じだ。太陽の残照を映して西の空は白地んでいる。東に闇のとばりが下りているのは、月が太陽にとって代わって、光り輝くように仕向けているからだろう。
日本の庭師はなんと腕がよいのだろう。枯れ木になった庭に天空と月を借景にして添えてくれるのだから。
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