単行本原稿の執筆が終わった。文章だけで16万字を超えた。文量はWordで計測したもの。400字の原稿に文字が400字記載していると計算しての15万字だから余白を3万字、資料が1万字相当とすると合計20万字。これは単行本2冊分の原稿になる。
その執筆が終わった。四年越しになる作業であった。
久しぶりに春日庵の空中庭園に出た。ここも秋だった。
ハナミズキは紅葉していた。季節は巡り万物は変わっていく。親しい知人が死んだ。90歳であった。最近は人を呼んで葬儀をやることが無くなってきた。いつも届くのは、家族葬で、身内だけで済ませたというものばかりであった。
私の左眼は、文字が読めなくなった。頼りの右眼は28日に白内障の手術をしてよく見えるようになった。
鳥が赤い実を落としていった。目は見えづらいのであるが、クルマを買い替えた。ついでにこれから死ぬまで使う予定の腕時計を探していた。幾つも買ったが合わずに我がオフィスに来る若いセールスマンにプレゼントをした。ある時、フランクミュラーを思い出し、フランクミュラーカサブランカ6850を買った。これは気に入ったので生涯の時計に決めた。
ヨゴノ木は間もなく黄葉する。起伏が多い文京区の崖淵に建って、ぬっと空中に突き出している我が庭園も久しぶりの秋を迎えていた。次には山茶花が咲き、山茶花が終わるころには椿が咲きだす。北上に住む友は農業に跳び込んでいる。すべてを載せて、時間は進行している。何もかも生きている間の出来事。