旨いそばを食べたいと願っていた。コロナで何もかも封印してきた?とはオーバーな話だが、旨いそば願望症は日々に高まってきて、それにつれて旨いそばを食べたい願望症は、高揚する一方であった。
そこで、40年来の親友ともいえる画家に連絡をして、旨いそばが食べたいと伝えた。
わかった。いつ来るんですと訊くから、明日でも行けると即答をした。とんとんと話が決まって本日、早い時間に起床し、新幹線に飛び乗った。
この山がわかればどこに向かったかわかるというものである。新幹線の中から撮影した一枚である・
十割蕎麦であった。
白いそばは、そばの殻をむいて純白な実だけで十割蕎麦をつくった。左側の蕎麦色は、カラも含めて十割にしたものである。かるく二人前の分量はある。普通はつなぎを入れてつくっているが、十割そばは、つなぎを入れないからこねるのが非常にむずかしい。ぶつぶつとそばが切れてしまからだ。
旨い!
すぐに、サービスですと言って野菜てんぷらが出てきた。カラッと高温で揚げているからこれも旨い。
圧巻は蕎麦湯であった。普通はそばをお湯で煮た残り湯を蕎麦湯として出すのが一般的だが、これはそば粉をお湯で溶いて蕎麦湯をつくっているのである。
だから旨い。
最後は小豆を煮た餡で口直しである。女将の自作であるという。
しかも、壁には斎藤真一の15号油彩画が二点も掛かっているではないか。お主何者?と訊きだしたくなったが、礼だけを言って友と店を出た。