【2009.05.08配信】
ブレアコンサルティングの服部です。
CPA(カスタマープリンシプル活動)は、企業が期待していた究極のCRMであり、SFAでもあります。
CPAは顧客との関係性を通じて、顧客と一緒に価値を実現し持続した共生・共歓のビジネス活動のことです。
CPAの中核理論は、「顧客との対話」にあります。顧客との対話で関係を深め、関係の進捗を可視化し、顧客の価値を発見し、価値を実現することで売り手の企業も信頼と受注の価値を実現できるのです。
そこで価値の発見ですが、価値とは何でしょうか。
マトリックスで説明をすると一目瞭然です。
まずX軸(横軸)とY軸(縦軸)を、紙に書いてください。X軸+(右)には、「一般的に顕在化している価値」と書き、X軸-(左)には、「潜在化している価値」と書いてください。
Y軸+(上)には、「顧客が求めている価値」と書き、Y軸-(下)には、「求めていない価値」と書いてください。X+・Y+(右上)は競争競合の領域です。
多くはX+・Y+の場で、値引きを含めて自社製品の価値を競うわけです。これが従来のパターンです。
以上を文章で説明をすると次のようになります。
顧客は価値を求めて製品を購入します。価値を求めなければ製品を購入しません。ですから顧客が求めている価値を発見するためのヒアリングは、誰でもやっていることです。
多くの場合に顧客が求めている価値は一般に顕在化している価値です。つまり製品があってその製品が生み出す価値は顧客に分かっているわけです。その価値を求めて顧客は製品を購入しようとするわけです。複写機でしたら、コピーができる。仕上がり品質がよい。印刷速度が速い。据付面積が小さい。多機能である。ランニングコストが安い。など企業が提示する価値と、顧客が求める価値にギャップはほとんど無いでしょう。これが顧客が求める価値と企業が提供する価値の合致ということになります。
いまや成熟社会です。成熟社会とは製品の成熟と顧客の成熟が進んでいる社会のことです。
実はX+・Y+(右上)の場にはもはや価値は存在しないのです。複写機の例でいまでもなくコピーができます。色がきれいですなどという価値は当たり前のことになっていますから。水や空気と同じような存在で、もしも複写機が存在しなければ企業活動は大混乱を起こしますが、平常時では、X+・Y+軸には価値は存在しないのです。
だから叩き合いという形容がピッタリの営業活動が行われています。
このマトリックスではX-・Y-と、X+・Y-軸に価値は存在していません。
顧客がまったく求めていない価値、例えば複写機に栓抜きがついています。ここでビールの栓を抜くことができますと言う価値は複写機には存在しません。
残りは、顧客が求めていて、一般に潜在化している価値、マトリックスで言うと、
X-・Y+軸(左上)ですが、ここに価値が存在しているのです。
メーカーは複写機の機能に価値を追求しています。
話は少しだけ余談になりますが、テレビ番組で司会者がトヨタの張さんに、企業は雇用を景気の安全弁にしていますが需要を創出することはできないのですかと質問をしたら、張さんは需要創出と簡単に言うけれど需要創出は簡単にできるものではないと答えていたのが私は印象的でした。
需要開発を価値と置き換えて読み直してください。複写機に新たな価値をつけることは出来ない。この考え方こそがヒト・モノ・カネ三要素経営の限界を示しているのです。
ヒト・モノ・カネ・顧客経営四要素にすると、CPAでは複写機を使っている顧客に使用価値を聞くことができます。顧客の歓びや感動を聞いてそれをこれから購入いただく顧客に伝えることができます。
使用顧客に訪問して使い立てのうちに顧客に歓びの声を語っていただき、それをデジカメの動画機能で撮影し、PCに落とせばそのままプロジェクターでプレゼンテーションできます。
企業は売ることしか考えていませんが、顧客は購入した製品を毎日使っているのです。その顧客が使って感動をしているうちに、デジカメの動画で撮影し(声も入力できますから)こんなところが良い、ここが便利、仕上がりは前と比べて数段良くなった、コンパクトなので事務所が広くなったと語ってもらえば、それは使用していない顧客ではまだ潜在化している価値を引き出すことになり、顧客が求めている価値と合致するわけです。
そのうえ、CPAでは「5軒の受注を取るためには100軒を訪問せよ。そうして95軒を切り捨てることで受注の5軒にたどり着けるのだ。いまは不況だから100軒を130軒訪問にせよ」とするこれまでの古い営業活動の考え方を採りません。
CPAでは顧客と関係性を通じて顧客の価値を発見し、顧客の価値を実現することで企業の価値(信頼関係の構築と継続した受注の獲得)を実現できるのです。
他社がX+・Y+軸で競合を重ねているあいだにCPAを採用している企業は、顧客の価値を真に実現することができるのです。