こんな写真が送られてきた。凹んでいるから売れているんじゃないですか!と文章がついていた。私は自分の書ではなく、周辺の書に目が移る。凄い競争だな。
原稿を本にするまでに大変な競争がある。出版社に持ち込んでも面識がなければ普通の人なら相手にしてもらえない。まず、編集者がやってみようと思わなければ動かない。
次に編集企画会議に出されて、通らなければそれで終わり。編集会議に通っても営業会議に通らなければそれで終わり。
こうしてできた本が書店に届いても、店長がこんな本は売れないと判断したら返される。私のお付き合いしている出版社は大手だから書店は出版社専用スペースを持っている。
自費出版した本が書店に並んでないと出版社を相手に裁判を起こすのは、事情を知っているものからすれば、お門違いである。書棚に並べる権利は出版社にはない。
こうして平積みされても、動かなければすぐに返本される。だから目立つように手にとって貰うように編集者は装丁に工夫を凝らす。
本はまず手にとって貰わなければいけない。次に買ってもらわなければいけない。写真の場はまさに顔見世の場である。
中身は読んでもらわなければわからない。顧客はぺらぺらとめくって目次を見て、面白そうか買うかどうかを判断する。だから装丁が大事なのだ。
そんな事情を知っているから、この写真を見て改めて凄い競争だなと目に映る。自分の本のところが凹んでいる興味よりも、顔見世の凄さに目が移る。