日本文学の大家であるドナルドキーンさんがニューヨークの自宅を売り払って日本に永住するために日本に帰国したニュースをネットで知った。
氏は渋谷の魚料理「玉久」の常連で、私も23歳の時から知っている店なので、玉久で出会った。もちろん会話をしたことはないのだが隣に座り合わせたこともあって、流暢な日本語でしゃべる日本語は独特で、感じが良くとても好きな人であった。
年齢をみると89歳である。日本人は老いると故郷に帰り、祖国の土に埋めてもらいたいと願うが、アメリカ人は天国に召されるのだからどこが墓地でも気にしない。
震災を気にして「いちばん大事なことは希望を失わないこと。希望さえ持っていれば奇跡が起こる」と、ネットに、書いてあった。すぐに仙台で講演があり、被災地に訪問するとも書いてあった。
いい生き方をしていると思う。彼は日本にたくさんの友人がいるし、メディアが放って置かないから、日本人になって活躍するだろう。
玉久は今三代目になっている。私は初代から二代目、そして三代目と知っている。ドナルドキーンさんも同じだ。そんな小さな係わり合いだけれど、親しみがあるのは氏の性格だと思う。今日はうれしい日だ。外国人が放射能を恐れて日本を見捨て帰っていくのに、日本を自分の故郷だと思って最期の地に選んでくれたことがうれしい。玉久でまた出会えたらもっとうれしい。