奄美の泰さんからタンカンが届いた。さっそく懐かしいタンカンの味を頂戴した。例年のものより甘く、出来が良かった。タンカンは、西田農園のもので、この農園はマンゴーとタンカンをつくっている。私も何度か訪問した農園だ。
夜になって泰さんに御礼の電話を入れると、ばしゃ山むらで、巳年生まれの同窓会をやっていた。ばしゃ山とは芭蕉の山という意味。昔、沖縄や奄美地方ではイトバショウで芭蕉布をつくっていたところから、芭蕉の山は財産価値のあった山のため、ただの山ではないという意味でばしゃ山と名付けたことに由来する。
ばしゃ山は、リゾート施設で宿泊所、レストラン、専用ビーチを持っている。中でも古民家を移築した施設は、建築関係者には必見だろう。私はこの古民家を借りて皆で宴席を持ったことがあるが、薩摩(和)と、沖縄文化が入り混じったような線の美しい家であったことを覚えている。
泰さんとは積もる話があった。「こちらは暖かいよ。いまも20度を越しているよ」と気温の話になった。島は夏でも海風のおかげで33度以上にはめったにならない。冬もかくのごとく暖かい。私が住もうとしている信州の山麓は、冬には-18℃とか19℃くらいになる。昔は-23℃なんてこともあったようだ。それにしても奄美大島と軽井沢の冬気温は、差引38℃の温度差がある。狭い日本と言いながら大変な気温差がある国なのだ。
泰さんとは中村瑞希さんの結婚話とか、友人の叙勲とか、無理をしてはいけないよと息き抜く話などよもやま話をして電話を終えた。
タンカンは漢字では短桶と書くらしい。
ポンカンとネーブルオレンジの自然交配種である。そのため外皮と中身が密着し離れづらく、地元では生ジュースにして飲み、あるいは包丁で縦八つ切りにして口に当て果汁を吸い取る食べ方をする。ネーブルと同じ食べ方をするわけだ。ビタミンCがたくさん含んでいるという。
私の脳に刷り込まれているたくさんの奄美大島の記憶とともに、泰さんから送っていただいたタンカンを食べよう。
東京は寒いでしょう? こちらへおいでよ。