熱せられて高温になった空気が動くことで肌が動的な空気温度を敏感に掴み取る。この日、早朝から仕事に出て夕方の6時35分、帰路するためエンジンに火を入れたら外気温は42℃と出た。このマンションの駐車場は野外にあっても風が動かないのか。私は手を天高く差し出して腕を回した。すると熱風が手にまとわりついてきた。
累計走行距離を使用月数で割ると1か月874Km。結構走っているなと思いながら、お盆休暇でがらがらに空いている東京の道を帰路に着いた。
風は涼しい方が良い。ロマンチック街道から急峻な山道を登った天空のカフェでは、いい風が吹いた。何十年ぶりに感じた風であった。昔のトマトが本当にトマトの味をしたように、昔のきゅうりがきゅうりの香りを漂わせていたように、そして今食べているトマトやキュウリはなぜか加工されているような気がして、これと同じように東京に住むと風は加工されて人工的に細工されていた。天空のカフェ・アイラには昔味わった本物の風が吹いていた。
もう地球に、人間にとっていい風は吹かないかもしれない。温暖化は地球に吹く風を劇的に変えている。これから大型台風、豪雨、巨大竜巻は頻繁に起こり、中国などは水を求めて民族移動が始まるだろうと予測されている。
人類は文明を進化させることで巨大化し、巨大化したことで滅びる。私は温暖化か放射能か、どちらかがトリガーになると思っている。軽井沢もかつて30℃を超えた日はなかったそうだが、ここ数日は30℃を超える日が続いているという。広尾町の魚港では、獲れる魚と時期が全く異なってきたという。日本海側の東北地方でもいままで獲れなかったさわらが獲れているという。釧路で黒マグロが獲れているという。みな、風向きが変わったのだ。
風向きが変わるとは変化の兆しを指して言う。ネットでは巨大な竜巻が増え、巨大な台風が増えると予測するアメリカの学者が唱える説を発表しているが、その兆しは世界で起こっている。
いままでの地球に吹いた風に適合した生き物だけが生存できた。日本という緯度経度にある島国に住む人類は生き残れるか。ふとそんなことを想う熱風が吹く夜であった。