連休の計画と言ってもレジャーではない。何の仕事をやるかの計画である。
今日は、積み残しの計画をやるために出社したのだが、この連休で一冊、単行本の原稿を書こうと考えている。オフイス管理人からは、服部さん。今日も仕事ですか?いつ休んでいるのですかと尋ねられる。
私は脳休めの天才ですからと笑って応える。
事実そうなのだ。インターネットとスマートデバイスのおかげで好きな音楽は、何でも無料で聴ける。バッハもモーツアルトもラフマニノフもドビッシーもラベルも忌野清志郎も中島みゆきも、エリッククラプトンも、エディットピアフも、ボリショイバレー団の白鳥の湖全幕も、なんと英国ロイヤルバレー伝説のプリマドンナ「マーゴーフォンティン」の踊りさえも時空を超えて見ることができる。誰の芸術だって、好きなだけ、誰に気遣うことも無く、好きな画像と音量で愉しめることができる。
そのうえ、好きな画家の絵に囲まれて生活しているから、いつだって絵に向かうことができる。対峙することで、いつも新しい発見をして心を遊ばせることができる。
さらに、青空文庫があるおかげで、若いころから、タイトルは知っていた和洋を問わず有名な小説家の有名な小説を好きなだけ無料で読むことができる。難解で手を出せなかった書はいまなら、案外、するすると読める。これは経験を経たせいだろう。
まだある。
オフイスから隣のマンションの庭を眺めることができる。オフイスに居ながらして自然に触れあうことができる。だから連続して仕事をしているように見えるけれど、実はONとOFFを連続させて生きているのだ。
それと、もう一つの理由を言えば、生きている時間がいとおしいからだ。最近は雨降る音がいとおしい。小雨の中を濡れて歩ける自分がいとおしい。夜明け前の明かりを感じることがいとおしい。仕事をしている時間がいとおしい。
だから、私はいま、何をしていてもそういうことができる自分が、感じる自分があって、生きることを、さらに充実させて、もう十分に生きたと感じるために連続して仕事をしているのだ。仕事をしながらも人は宇宙とつながっていることを感じることができる。合間に音楽と絵画と文学と舞踏と、時折、「自然」との触れ合いを感じることで、十分にOFFを愉しめることができるのだ。
連休が終わったあと、楽しいレジャー計画が待っている。
それはBMW M6で長距離ドライブが待っているからだ。
オプションや付属費用や税金で2000万円を超える、BMWM6クーペ。個人が持てるレーシングカーBMWだ。もちろんBMWのフラグシップモデルでとにかく凄い。馬力は560馬力、V8エンジン、トルクは69.3kgm。このモンスターマシンが2泊3日で我が家へ来る。
私は仕事でBMW試乗記を書いている。趣味と実益を兼ねたこの記事がことのほか人気で、どの自動車試乗記より面白いと評されている。そこでこのシリーズを充実させようということになって、年間8台のBMWを私が常に2泊3日で借り受け、山岳地帯を走りまくって、(山岳地帯に行くまでの高速道路や市街地も含めて)試乗記を書くのだ。
私は日帰りで、東京~高速で小諸下車、~100メートルを一気に登るチェリーパークラインで標高2000㍍高峰高原へ出て、湯の丸高原~鹿沢温泉~の山岳地帯を走り、長野街道へ下り、再び山岳地帯に戻って万座温泉で日進館の硫黄温泉に浸かり、また急峻な万座道を下り、浅間高原を抜けて標高950メートルの軽井沢へ戻り、軽井沢の友人を加えてフランス料理シェ草間で夕食。それから上越道、関越道を抜けて東京に戻るというコースを走ることに決めた。出発は8時半。帰着は22時を予定。ランチの場所は決めず。唯一の心配は残雪の状態だけ。
全コース推定600キロ~650キロか。私一人でもできるけれど、この至極な楽しみを独り占めにしてしまうのもけしからんことだと思い、若い友人を誘った。彼は運転の名手で、バトルシフトを使ってエンジンの回転数を保ちながら急カーブが多い山岳地帯の下り坂をブレーキも踏まずに高速で下れる凄腕だ。
ディラーの営業本部長からは、「服部さん。スピードには気を付けてください。100キロの感覚だと思って走ったら、それは200キロ走行ですからね」。と釘を刺された。
という訳で、生きること自体の歓び、それが苦難の時であってもそんなものは、臆病な脳が決めたことで実際に存在はしないのだから、苦難を味合える歓びを噛みしめ、時にはモンスターマシンに乗って運転を楽しめる歓びも味合い、そんなことができる自分を、生をいとおしみ、日々生きているのだ。