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投稿情報: 14:55 | 個別ページ
極寒の地。冬になれば夜の気温は-40度を超えて下がった。満州で終戦を迎えた日本兵はソ連軍の侵攻を受けて投降し、皆シベリアに連れて行かれシベリア開発の労働者として抑留生活を送った。
生前、永田力画伯は抑留生活の話をしたがらなかった。聴いても答えず話を逸らした。重い口がポツリと開いたのは二年前のことであった。
みんな死んでいくんだ。死ぬと収容されている元日本兵が、まるで餓鬼が死体をむさぼるように衣服をはがしていくんだ。それだけ寒かったんだ。でも死体のふんどしだけはとらなかった。皆で死体を引きづって共同墓地としていた辺りに穴を掘るんだけど、地面は凍土でスコップもシャベルも通らない。穴を掘るのではなくて儀式として死体の上に掛ける凍土を準備するだけだった。
鯵の干物の背骨を折るように、シャベルで背骨を折って体を小さくして、削り取った凍土のかけらを体に掛けて、それで終わりだ。翌朝、労働で通ると遺体はない。狼などが食べてしまったんだろう。
私は、永田力画伯の遺作から、わずか数秒で直感的にこの絵を選んで所望した。はじめ・・・晩年の作品かと思っていた。キャンバスではなくベニヤ板に描いた油彩である。ご子息が自宅に届けてくれた絵を見ると1965年と記されてあった。画伯が44歳の時である。
シベリアの抑留生活を描いた有名な画伯が香月泰男氏である。
満州、中国で敗戦を迎えた日本兵士たちは極寒の地での少ない食料とわずかな休息時間だけで、モスクワが机上で作成したノルマによる過酷なシベリア鉄道敷設の強制重労働を強いられていた。
香月氏は、フレームの中にシベリアの大自然の中で、極限に追い込まれた人間の絶望と希望を高いデザイン力でまとめている。香月泰男氏の作品を知らない人は検索エンジンで香月泰男→画像で見ることができる。
永田画伯は、シベリアの絵を描いていない。描かなかったのではなく描けなかったのだ。
この写真は撮影角度を変えたものだ。絵はやや立体的になる。カメラがiPhoneで蛍光灯による照明なので画面は赤みがかっている。実際にはこれほどの赤みではないのだがベースにはいろいろな色が敷いてあることが分かる。
「シベリアの月」は、私が勝手につけたものだ。永田画伯が付けたならきっとこうつけるに違いないと自信を持って決めた。拘留されていた収容所に極寒の月が照らしている。画家は俯瞰的に風景を抽象画とも思えるタッチで具象化している。画面に月は描かれていない。月光で輝く収容所を描いている。
私の見え方と永田画伯の見え方は違う。私はこの絵から引き出せるものはすべて想像だが、永田画伯が引き出すものは、抑留経験である。
描いてから今年はちょうど50年になる。画伯はこの絵を一度もフレームの中にはめ込まなかった。売り絵ではないということだ。私はこの絵を背負うことができるのかと反芻している。
台風が過ぎ、雨が止んだらこの絵を世界堂に持って行き、フレームに収めよう。銀色がいい。金属のフレームが似合うだろう。
明日は永田画伯の一周忌だ。振り返れば永田力画伯とは奇しき縁で結ばれている。
季節は巡り人の感じ方は変わっていく。私も終わりがある身だ。終わりがある以上、悔いない生き方を選ぼう。
投稿情報: 14:54 | 個別ページ
週末2日間を連休したのは数年ぶりだ。引き留めたのは急な暑さ。前の週が肌寒いくらい涼しかったので、この暑さはさすがに戸惑う。そこで自宅に籠もり冷房をいれて、あまり健康的ではない環境だが休養に努めた。
途中、墓掃除に出かけた。お盆が来るのに草茫々では近隣に悪いと思ったからだ。私は雑草だなんていうのはおかしい、どの草にも名前が付いている。暑い最中に草を抜いて、売りものの花を生けるなんて実におかしい光景だ。草だって花を咲かせる。それが人間にとって美しいと思わないだけだ。雑草が生えていればそれでいいのではないかと思うがこういう考えは屁理屈らしい。
人間は死後もお金が掛かる。葬式代ではない。埋葬されてからもだ。こんな生き物はほかにいない。人間だけの仕業だ。墓地建築費にお金が掛かる。管理費に掃除が掛かる。維持費にお金が掛かる。坊さんにもお金が掛かる。死後に遺族がこんなにお金が掛かるのはおかしいではないかと私は思う。
死はビジネスの対象だ。それも永遠にだ。私は死のビジネスに添って墓掃除に出向く。誰一人として感謝されることもない。故人は燃やされて骨の一部が壷に納められているだけだ。本人は永遠の眠りで、何のために生まれてきたのかといえば自分のDNAを残すためだけだ。DNAも骨も感謝をしないから、墓掃除に出かける私もうれしくも何もない。
夏の日に照りつけながら、草を抜き、墓石を洗い、花を活けて、線香を燃やし、般若心経で一番ありがたい一節を唱えて、這う這うの体で、太陽にあたり熱せられているクルマに戻り、エアコンを最大にして熱気を外にだし、シートクーラーは付いていないのかと思いながら、広大な霊園を後にした。
けれどもこのような親不幸思想を持った者は、どこかで思い切って何かを捨てているのである。多くの人が問題意識を持たずに墓参りをしているようにすれば心清く、人生を生きられるけど、私のように、社会常識の不条理に反応していろいろなものを捨ててしまっていると、その分だけ心の中に抱きしめるものも増えてくることを承知して生きなければならないのだ。
私は墓参りに行かない分だけ父母のことを思い出す。すると父母は活き活きとして私の心の中で生きていられる。この実感は生きている実感だ。一番大切にしなければならない実感だ。
霊園から出る前に事務所に行って公共墓地のパンフレットと墓を閉める費用を聴いてびっくりした。
おいおい、墓を閉めるのになぜそんなにお金が掛かるんだ。公共墓地になぜそんなにお金が掛かるんだ。子孫は墓地地獄だ。
ところが東京近郊の墓地は広がり続けている。派手に募集が行われ小さな面積わずか2㎡で数百万円+墓石代と高い。
やがて火葬場で、残骨なし焼却というメニューができて何も持ち帰らないようにすればいいと思う。死んだ人は思い出してくれた人の心の中で生き続けることができるのだ。
家に戻るとシャワーを浴びて、冷えた桃を皮ごとかじり、それからApple Musicを聴いた。
「日本では音楽を聴く行為は終わりだな」というのが結論だ。CDやデータで音楽を聴く時代は終わったという意味だ。引き金を引いたのがストリーミングだ。世の中は立体的な構造に進んでいる。音楽と踊り。CD、MP3からライブへ。
私は3ケ月の無料期間を終えたら続けない。お金の問題ではない。音楽は辞書ではない。いままで生きて思い出ある曲や好きな曲を愉しむのが好きだ。3000万曲から一曲を絞り出す機会は、ほぼない。
西洋音楽と日本音楽とでは生い立ちが違う。
人の心の感じ方が大きく動いている。70歳を超えた私の年齢で墓及び死後の宗教不要論は非常識かもしれないが若い世代では当たり前になっている。時代の変化ではない。人の心の変化なのだ。
久々の連休で英気を養った。人の心は変化する。変化すれば意識が変わる。意識が変われば行動が変わる。人々の行動が変われば・・・。そのうち死後ビジネスは衰退産業になる。死んでお終い。それを知った時に人々の意識が変わり行動が変わる。こうして世の中が変わっていく。久々の週休で考えたことの一部を日記に認めた次第である。
投稿情報: 13:16 | 個別ページ
当ブログはアメリカの会社が運営している有料ブログだ。クレジットカードの有効期限が迫ったために更新を掛けたが、クレジットカード会社に跳ねられたとメッセージが出た。そんなはずはない。念のためにクレジットカード会社に確認すると、更新情報は受理して承認を出しているとの返事であった。
その旨をアメリカのブログ運営会社に伝えても、記入ミスか使用不可のカードを使っているからエラーになったのだ。新しいカードで再トライしてくれの一点張りである。
アメリカが好きな「標準化」とはこんなものだ。日本ならすぐに個別対応してくれる。何度もトライしたが同じメッセージしか出ない。アメリカに問い合わせすれば記入ミスか使用不可のカードを使っているからエラーになるのだと繰り返してくる。
そんなわけで過去ブログは見ることができても新規ブログは作成できない期間が続いた。
その間、ブログ運営会社から更新が止まっています。何を書いていいのか分からない時はこんなことを書きましょうと、現在のステータスには似合わない自動メールが届いていた。
私は戦略を変えようと思った。
クレジット会社が承認していると回答しているではないか。クレジット会社には届いている証拠。使用したカードはいつも使っている生きたカードだ。エラーメッセージが出るのは御社のシステムエラーのせいだ。自分のミスを認めないでなぜ入力ミスと使用不可カードのせいにするのか。それならクレジットカード会社から届いて承認しているとの証明書をとって送付する。それでも認めないならシステムのせいではないことを証明した資料、入力ミス、使用不能カードで更新を掛けているという主張を証明する資料を送れ。もしおたくのシステムエラーと分かった場合、損害賠償をするか。
すると、まだ入金していないけどブログは使えるようにする。自社でシステムを調整する。更新できるようになったら知らせる。その時は更新してくれと返事が来た。
約20日ぶりにブログで近況を報告することができた。
投稿情報: 09:21 | 個別ページ
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