一日でいちばん好きな時間はと訊かれれば、朝日が昇る時間と落日の時間と答えるだろう。オフイスのベランダからスマホのカメラで撮影した落日の写真。美しく物哀しい。
太陽が落ちるのではなく地球の自転で落ちたように見えるだけなのだが、この後にやがて黄昏がやってくる。刻々と変わる色調の変化を静かに楽しむことは良いものだ。
英語ではトワイライトタイム。ナットキングコールやプラターズが唄った。アメリカ人も黄昏時が好きに違いない。
こうして地球は回る。私たちも一緒に回る。宇宙の中を地球と一緒に。昨日と今日は同じではない。朝日とともに一日が始まり、たそがれ時とともに一日は終わる。
私は自然を恋い慕っている。Facebookで山野草の花を見るたびに胸が締め付けられる思いをしている。私もまた昨日と同じ私ではない。私の集大成としてつくった仕事は大きく広がっていく。私は忙しい毎日を過ごしている。あまりにもビッグな仕事だ。
一方でもう自然の中に入れと誰かが耳の傍でささやいている。
私もそうしたい。けれども集大成の仕事をこの世に残したいとする意味があるのかないのかわからない欲望が私を支えている。
花を見たって花は語ってくれない。人間には人間が一番合う。私はイメージを重ねることが得意になっている。この落日を奄美の東シナ海に掛け合わせてイメージすることができる。かろうじて代替え品を持ってきて自分もまた都市ではなく自然の中にいるような錯覚をしている。
地球は回っている。君を載せ、この世のすべてを載せて。