標高930m~1000mもある軽井沢も日中の気温が33度を超えて避暑地ではなくなっている今日この頃だが、知人が軽井沢から逃げ出して標高2000mの高峰高原に避暑に行ったが、ここでも暑かったというから、もはや逃げ場などないのだ。
この暑さは太平洋高気圧の上にチベット高気圧が乗っかっている高気圧二重構造から生まれているそうで、いわば、羽毛布団二枚重ね状態が続いているからだそうだ。
二年後のオリンピックは、殺人オリンピックになるとメディアは騒いでいる。新国立競技場は空調がないらしい。はじめからわかっていることなのに聖火台もない。火による温度上昇を予測して、付けなかったのかもしれないと、稚拙な考えが思いつくほど脳の温度が上昇していかれている。
そんな暑い昼下がりに、意を決して上野の西洋美術館常設展に出かけて帰りに湯島の「羽黒洞木村東介」に三回目になる中村忠二の絵を観に行った。
私が4年の年月をかけて創案した「顧客行動変容法」を取り入れ着手しているコンサルティング及び制作業務は、今秋から波状的に実行に移される。クライアントであるグローバル企業にとって国内事業の未来を変えるほどの影響力を持つとされる。役員を初め営業現場の支店長たちも、非常な期待を持って、成り行きを見つめている。
昨日はずいぶんと歩いた。オフイスの近くから上野公園行き都バスに乗って公園まで行くかと思いきや、お祭りがあってバスも入れず広小路で降りることになった。広小路から上野の山を登り美術館に入って常設館の絵、50年も前から見慣れている絵と再会し、それから不忍池に降りて、ぐるりと回って湯島へ向かったのである。水分補給を忘れなかったことや、できるだけ木陰を歩くことや、休憩を入れることを心掛けることで、熱中症になることもなく、たどり着いた。
羽黒洞木村東介が所有している中村忠二の作品では、次の2枚が好きだ。
上記はいずれも水墨画である。この二点は、売り絵でないところが好きだ。観るものに媚びていない。人は、この画家をエゴイストと呼ぶが、自己の利益に誘導していたわけではない。中村忠二は、絵を描きたい一心でのエゴイストであった。通信士の資格を持っていたがために、ぶらっと船に乗り込んで何カ月も家に帰ってこなかった。その時画家は船の絵が描きたくてたまらなかったのである。
画家は、檻に入った熊の絵を描いた。孤独の象徴として熊の絵を描いたのである。だが熊が入っている檻は錠が壊れている。熊が勇気を持って扉を押せば自由になれる。元居た森に戻ることができる。だが熊は動かない。この絵のモチーフは「孤独とは」である。孤独の正体を覚悟したのである。
当日、手に入れたのは、上の絵ではなく、額縁幅が94cm×高さ128cmの、「孤独」をモチーフにした大型絵2枚である。
来週は、夏休みをとって避暑を兼ねた旅行に出かける。8月に入ったら2枚の絵がオフイスに届く。
顧客行動変容法が成功したら、従来の常識を覆す。芸術や哲学は私に考える力や勇気を与え続けてくれる。感謝以外の何物もない。