軽井沢から知友が事務所を訪ねてくれた。話によるとアメリカの大富豪が軽井沢に別荘をつくっていることで軽井沢中がその話で持ち切りのようだ。
アメリカの富豪は世界のどこでも大型別荘をつくることで知られている。自分の別荘に飛行機で行くことも普通だ。日本人とはスケールが違うのは、財産の程度は別として大陸に育っているか、島国で育っているかの違いだ。
というわけで、軽井沢はまた世界中で有名になるねと話は落ち着いた。
軽井沢は常に外国人によって評価されてきた。そもそも軽井沢を避暑地としてクローズアップしたのはカナダの宣教師であったし、この宣教師の宣伝で外国人が避暑地として軽井沢に集まった。こうして旅籠宿はホテルに変わり、うまいパンやジャムのつくり方が広まった。
日本人も政治家や経済人や文芸家が集まり、軽井沢の文化が生まれた。
大震災直後、日本の富裕層が競って建売別荘やリゾートマンションを求めた。いまでも駅近くの高級リゾートマンションは、築10年でも坪二百万円以下はない。
最近は中国人が、日本のリゾートを買い求めている。軽井沢もその一つで、例えば赤軍が立て篭もった南軽井沢にあるあさま山荘も、その跡地は中国人の手に落ちている。
軽井沢はもともと国際都市であったし、軽井沢の一等地は日本の富裕層が集まっている土地だが、世界的に著名な大富豪が別荘を建てているとは、新たな箔がつくというものだ。地元もこの効果に期待しているという。
軽井沢と一口に言うけれど、わかっている人は軽井沢のどこですかと必ず問う。今は旧軽井沢の一部と南が丘の一部が特別の地となっている。
昨日は久しぶりに軽井沢の知友が訪ねてくれたので、会っている時間ほとんどが軽井沢談義であった。
それにしても時代は動いている。多くの日本人は自分が動いていないことを忘れて、時代が推移していることを、時代が動いていると称しているようだ。自分が動かなければ時代についていけない。
軽井沢談義は軽井沢の話なので共通した話題がなければ話は進まない。軽井沢について軽井沢事情に詳しい二人が、軽井沢がわからない人にとっては意味がわからないつまらない話だろうが、大富豪が別荘を建てているという話はとても印象的な話であった。