一週間後、庭師和久井道夫氏の設計通りに時は流れていた。先週、ホタルフクロは咲いていなかった。私は二週連続して小諸の和久井ガーデンを訪問した。
蛍の季節に咲くから蛍袋と名付けたのか。古人がこの花を袋と見立て、中に蛍を入れて薄紫の光を愉しんだのかは知らない。ホタルフクロは、キキョウ科ホタルフクロ属。ホタルフクロ属の別名をカンパニュラという。ここまでは私も知っている。
この花はハタザオキキョウ(旗竿桔梗)(カンパニュラ・ラプンクロイデス)。ホタルフクロ属だ。耐寒性が強いのでマイナス十数度まで下がる、小諸の標高が高い所でも咲くことができる。
この日は細かい雨が降っていた。私は和久井さんの家に上がり込んで夫妻と長い時間話した。話題は、もちろん庭園のこと、それからスペインの中庭のこと、そして中国の中庭のこと、東南アジアから連関した古布のこと。ついでに小諸での暮らしのこと。それからカンパニュラの話になった。
カンパニュラを何で知っているのか。
そのわけはカンパニュラの恋を聴いてカンパニュラとはなんだと調べたことに起因する。
カンパニュラの恋は2008年フジテレビで放映した「風のガーデン」の主題歌である。平原綾香が唄い上げている。原曲はショパンの夜想曲20番。だから美しくて哀しい曲だ。
カンパニュラはホタルフクロのラテン語。なんと美しいラテン語であろうかと私はその時思った。。
私は花の生存競争を知っている。
この花は匂いで虫を誘い交配率を高めるために、虫を袋の中に閉じ込める。ホタルフクロの恋とは何とも不明な言葉だが、ホタルフクロが交配のために虫をどのように閉じ込めるかを知ると、なんとなく意味深に聴こえてくるから面白い。
カンパニュラの恋は、私のyoutubeお気に入り(Favorites)に登録されていて、時折聴いている。
この日は和久井さんの家で自由時間の大半を使ってしまった。それから小諸市糠地にある和久井ガーデンを去り、浅間サンライン経由で軽井沢へ入り、そのまま下仁田街道を下って、下仁田ICから高速へ上がった。碓氷軽井沢⇔小諸間は八風トンネルがあってちょっと怖い。松井田妙義⇔碓氷軽井沢間も複数のトンネルが連続しこれまた怖い。八風トンネルは天井からコンクリート片が落ちて走行注意となっている。だから怖い。
カンパニュラの恋ならまだいいけれど、カンパニュラの天井落下ではちょっと困る。