【2009.08.07配信】
ブレアコンサルティングの服部です。
SFAシステムを作り、もしくは販売する会社の多くは、営業プロセスを管理することが重要であると言い切っていますが、営業プロセスとは何かを正しく定義していません。
そこが一番問題なのです。そこで彼らにプロセスと名前をつければすべて正しいプロセスなのかと問えば、そうではなく顧客企業のSFA導入プロジェクトメンバーが納得するプロセスであればそれが顧客企業にとって正しい営業プロセスなのだといいます。
私はこれまで多くのSFAに携わる人たちから同様なセリフをたくさん聞いてきました。
彼らの主張は、「顧客がこれでよいといっているのだから、これが正しい営業プロセスなのである。顧客が違うというプロセスを我々ベンダーが違うということはできない」と言うことです。
「営業活動は営業プロセスそのものである。営業活動は顧客が行っているものであり顧客が熟知している。だから顧客の営業活動に沿って営業プロセスを設計することは正しいのである」という意見は間違いではありません。
しかしこうして出来上がった正しいはずの営業プロセスは現場ではしっくりしないで、営業活動と乖離し、やがてSFAに入力をする意味もなくなり、使われなくなってしまっているのが多くの現実ではないでしょうか。
営業プロセスとはなんぞやということが定義されずに、かつプロセスとは何かを深く考えないで、営業プロセスを構築することがそもそもの問題です。
SFAに搭載する営業プロセスは、どこも社内の都合で作った見積書を作成するための社内手順のようなものに過ぎません。
たとえばハウスメーカーの営業プロセスでは、どこでも初めにあるプロセスは土地の調査プロセスです。土地の調査とは現地確認、用途地域、周辺環境確認、地盤調査が含まれています。
このプロセスは家を設計する上での必須条件です。ですからSFAを導入しているハウスメーカーでは、SFAプロジェクトで営業プロセスの最初に土地の調査を全員一致で挙げてくるわけです。そんなわけで日本中のハウスメーカーの営業担当者全員が、住宅展示場に来場する顧客に、土地の調査をしましょうと押し売りに似た販売攻勢をかけるのです。
顧客企業からすれば、まじめに考えて営業プロセスを設計していますが、普段は営業プロセスとは何かなど考えたこともない人たちが考えているのですから正しいプロセスと実際にやっているプロセスと、考えて構築したプロセスとに整合性があるわけはないのです。
この責任はSFAを構築するコンサルタントにあります。彼らは顧客の意見が一番正しいと考えているのですから、だから日本中どこへ行ってもハウスメーカーのSFAに搭載されたファーストプロセスは土地調査になってしまうわけです。
さて、顧客の立場からすれば、展示場で会話をしてアンケートに記入したからといって、お宅に家を建ててもらいますと決めていません。決めていないうちに土地の調査の話ばかり持ち出しますから顧客は逃げてしまうわけです。
だから正しい営業プロセスを考案するポイントは、土地の調査を最初に立てるのではなく、お宅に決めたといってもらうための営業プロセスを考えることなのです。
顧客があなたに家を建ててもらいましょうと決めてもらえれば、土地の調査プロセスは顧客にとって価値実現のプロセスに置き換わります。
顧客から進んで土地の調査はいつやってくれるのと営業担当者のお尻をたたくようになります。
これはB2Bでも同じことです。
もうお分かりのように正しい営業活動とは、つまりは正しい営業プロセスとは、社内で作った自分都合の営業プロセスを、顧客にとっての価値実現プロセスに置き換える活動なのです。
BREA理論とは営業プロセスを顧客にとっての価値実現に置き換えることができる実践的な理論であるのです。だから契約率が高まり、持続した関係を構築することができるのです。
顧客の主張が絶対正論という考えでSFAを構築する時代は終わりました。これからは正しい理論に基づいて営業プロセスを構築していく時代です。
次週は夏期休暇で本メールマガジンもお休みです。
次回は21日です。