私は、iPadが出現する前からiPadのようなコンピュータが出てくるだろうと想像し、その出現を待ち望んでいました。このようなデバイスが登場したら、私のやりたいことはほとんど実現するだろうと思っていました。アプローチブックとビジネスビデオを一つにしたもの。いまのテクノロジーでできたら営業活動は革命的に変わると信じていました。それはデバイスができたらということではありません。
いまのiPadのようなデバイスができたら、アプローチブックとビジネスビデオだけではなく、ただの訪問営業をコンサルティングセールスに変えることができるほどの力を持つことができる確信と、二五余年、専門的分野に特化して培ったノウハウを加えることで、画期的な営業革命が出来ると確信できるからです。
私が実現したいこと……、それはiPadを使って顧客の心と営業プロセスを動かすことです。訪問営業でも、店舗でも、通販でも、ネットでも、顧客と会っているシーンでも、会っていないシーンでも顧客の心を動かし、プロセスを動かし、受注を増やすように、あるいはリピート率を増やすようにすることが、営業改革を実現する上で肝の部分になります。
私たちは、iPadがなくてもこのことにチャレンジしていました。コンサルティングが終了したあと、顧客の心と営業プロセスを動かすツールを制作し、クライアント企業に提供し続けています。
このツールは、顧客の心を動かし、プロセスを動かす力を持っています。顧客と会っている時でも、会っていない時でも動かす力を発揮するこれらツールを、『マジカルウエポン』と命名しています。まるで魔法の武器のような想像を超えた力を発揮するツールという意味です。
幾つもの大企業で制作しているこれらマジカルウエポンは、真実の効果を売上数値で聴かされてビックリ仰天するほどの成果を出しています。あるB2Cメーカーでは販売した顧客ケアをマジカルウエポンツールで行なって170人の営業で年間に一台単価平均5千万円、金額では200億円を超える紹介販売を実現しています。顧客の心を動かし、紹介するアクションを導き出しているのです。
ある自動車メーカーディーラーでは、顧客にマジカルウエポンツールを年に一回だけ郵送しているだけで、関係性を強固にしてリピート率を大きくアップしています。営業の人は一年間アプローチしなくても疎遠となっていないといいますから。
私たちはこの体験を通じて、営業のあらゆるシーンで、顧客の心を動かし、営業プロセスを動かしていく数多くのノウハウを蓄積しています。これが実現でキナ駆れば顧客戦略も営業プロセス改革も実現しないことを私たちは肌で知っています。
iPadは、顧客の心を動かし、プロセスを動かすマジカルウエポンである以上、営業プロセスのどのポジションで使うのかを明確にしなければいけません。単に心を動かすのではなく、どこに向かって心を動かすのかを、明確に定めなければいけません。
それはiPadだけではなく、すべてのメディアに役割を与えることになります。
すると根本のところで顧客戦略(顧客に対する原理原則…カスタマープリンシプル)がなければなりません。
以上、手短に紹介いたしましたエピソードを読んでいただけると、四三年生まれの私が、iPadをビジネスで使う方法を具体的に論じることができるわけをご納得できると思います。