企業は、iPadでカタログや資料や動画を顧客に見せることを前提にして、iPadの導入を考えていますが、顧客が見なければiPadを導入し営業に活用する計画は頓挫します。やがてiPadを征することができないiPad負け組み企業になってしまいます。
ここで全編に流れる大事なキーワードをお伝えします。iPadは営業員の第二脳として考えてくださいということです。
第一の脳はいうまでもなく、営業員の脳です。
営業員は、口でも、目でも、顔の表情でも、全身で表現した身振りでも顧客に伝えることができます。カタログや資料を出して見せて伝えることも出来ますし、視察先に案内して売りたい製品を説明して伝えることも出来ます。それだけでなく、感情を加えて伝えることも出来ます。
訓練された営業員は、顧客の心をひきつけることもできます。契約調印も出来ますし、感謝を伝えることも出来ます。顧客と一緒にお酒を飲み交わすことも出来ます。
iPadのスイッチを入れることも出来ますし、クルマを運転することもできます。
第一の脳は、人間そのものです。忘れもするし、記憶の正確性にも限界がありますし過ちも誤りも犯します。
一方、iPadは第二の脳に相当します。
第二の脳は、第一の脳と組み合わせることで、見せる、聴かせる、訊かせる、感じさせる、納得させる、驚嘆させる、理解させる、比較させる、決断させる……つまりは顧客の心と営業プロセスを、プロセスの目的に向かって動かす力を持っています。
ただし、実現するにはコンテンツが必要で、本体は空箱のPCです。機械は目的を実現するようにつくれば、目的を達成します。空を飛べるようにつくった機械が、空を飛べるように、海底深く潜れるようなつくった機械が五〇〇〇メートルの海底に達するように、iPadにどのような目的を持った脳をつくるかで、出来具合が違ってくるのです。
あくまでも主役は第一の脳です。第一の脳と分離してiPadを計画することは不可能です。第一の脳に第二の脳が合体することで、営業活動は、ビジネスで営業員の第一脳と第二脳が合体した効果を想像してみてください。