多くの企業がTOPダウンでiPadを導入しています。TOPダウンとは経営者の直感でiPadを導入しなさいと組織に指示をすることです。経営者の直感は素晴らしいことです。
けれどもJobsが私たちに残してくれたiPadを・・・・活用できている企業は残念ながらほとんどありません。それはiPadが悪いのではなく、使い方が考えられていないからなのです。
まず、経営者の直感は正しいです。iPadは営業パーソンの第二脳として素晴らしい活躍をします。顧客の心を動かしますし、商談をぐいぐいと進める力があります。しかし、iPadに電子カタログや画像を詰めて営業パーソンに渡せば有効的に使えるだろうと考えて渡しても、営業パーソンは使えずにいつの間にか使うことをやめてしまいます。
一度見たiPadコンテンツ(アプリ)を顧客は二度見ません。私たちも振り返ればそうです。読んだ本を買って読みますか? 診療所の待合室で待っている時に、以前に読んだ週刊誌を再度読みますか? 読まないです。これと同じです。顧客はそれは見たよって言ってみようとしません。
顧客は関心のないiPadコンテンツを見ようとしません。私たちも振り返ればそうです。書店で関心のない本を読みますか? 釣りにまったく興味のない人が書店で、この雑誌は面白いですよと言われても読まないです。それと同じです。
大きな過ちは、カタログとiPadの目的が違うことに気付かないことです。カタログはどう使われているでしょうか。ここを考えないといけません。営業パーソンがカタログを出して製品の説明をするシーンは限られています。見積書に添付するとか、あるいはカタログを置いておきますので、後でお暇な時にお目を通しくださいというのが精一杯です。それがカタログの役目です。顧客は興味があれば読みますし、導入を考えている時は真剣に読み、検討機種数台と比較をしますが、興味がなければゴミ箱へ直行します。それがカタログの役割です。
iPadは違います。iPadは時間を掛けて見ていただくものです。見るためには一定の時間が必要です。そこで顧客は次の原則に基づいて対応します。
1.信頼関係ができていない営業パーソンが提示するiPadコンテンツは見ない。
2.一度見たiPadコンテンツは二度見ない。
3.関心のないiPadコンテンツを見ない。
営業パーソンは次の原則に基づいて対応します。
1.使うシーンと目的が分からなければ営業パーソンはiPadコンテンツを使えません。
これはプロセスのことです。何処のプロセスで、何を奨めるために有効なのかが分からなければ使いようがないのです。
2.顧客が見なければ営業パーソンはiPadコンテンツを見せようとしません。
当たり前のことです。顧客が嫌がることをやる営業パーソンはいません。
結局はカタログの目的とiPadの目的を区分けできないで、見せることだけを考えた結果です。
これほど成熟した社会で、すべては顧客が決める時代に、いつでも情報が手に入る時代に、iPadでうちの製品を顧客に見せるのだ。iPadがあればカタログを全部入れられる、図面も全部入れられる、画像も全部入れられる、資料も全部入れられると、顧客に見えることだけを考えた結果が、使えないiPadコンテンツを作り上げたのです。
私も何でも入ったiPadを見てきましたけれど、ものすごい量の販売資料を突っ込んでも営業パーソンは使いようがないと思います。
なぜこうなるのでしょうか。それは突き詰めれば「素のiPad」をそのまま使っているところに起因して結果という結末にたどりつきます。素のiPadとは購入したそのままのiPadのことですが、素のiPadに資料を詰めて使っていること誤りのスタートです。
例えばご担当が、企業に導入した数百台、数千台のiPadを眺めながら、一台一台に何を入れるかと考えたら、それは電子カタログを入れるか、画像を入れるかしか考えがつかないのです。そして結果は、述べたとおりです。