一九四三年生まれの私が、ビジネスで売上を伸ばすタブレット端末(ここではiPadと言います)コンテンツのつくり方や使い方を適格に論じることができるのかを、ことのあらましだけを手短にお伝えします。
私は、四〇歳まで、産業機械メーカーで営業部の方針を立てることと、このような製品をつくってくださいと製造部に伝えること、出来上がった製品を、大量に販売するため宣伝やプロモーションを含む営業企画部門の責任者を業務としてやっておりました。
ここで、将来iPadにつながるだろう二つの体験をしました。
ある日、直属上司の営業担当専務から、今の営業スタイルを、単なる訪問型セールスからコンサルティングセールスに切り替えるようにと指示が出ました。訪問営業をしている営業にある日コンサルタントになれといっても無理な話ですからそこで考えた挙句、道具を使って実現することにしました。コンサルティングのコンテンツつくりから教育システムまで幅広い領域をまとめたコンサルティングセールスの主役は、アプローチブックでした。
顧客企業の工場生産性を上げるためのレイアウトや、レイアウトを改善した時の工場原価構図の変化、顧客企業の販売促進案まで、二十冊に及ぶアプローチブックを作成してB4のビニールファイルに入れて営業に届けました。まだ、パソコンもワープロもない時代です。全部手描きで作成し複写して届けました。
アプローチブックには当たりはずれがでました。顧客が真剣に身を乗り出して聴いてくれるものと、途中でもういらないと断られるものがでてきました。当たったものはぜひ取り入れたいと話が進み、工場全体のレイアウトを、設備も含めて入れ替える大型受注が取れました。口頭で伝えるだけでは絶対に実現できなかったことが、アプローチブックで実現できたのです。
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